Q:50歳女性です。最近ふとした拍子に知らずに尿が漏れてしまうことがあり、自分でもびっくりして困っています。その都度下着を替えたりして対処していますが、まだこれから長くなるかも知れない人生で、尿がもれてしまう悩みを抱えていくのはとても不安です。陰部が痛くなったり、かゆくなったりすることもあります。皮膚科で診てもらえますか?
A:尿漏れとは 排尿する前に尿がもれてしまったり、くしゃみや咳などおなかに力を入れたときに思わず尿が出てしまったりすることを言います。原因は色々あり、珍しい事ではありません。尿意をもよおしたとたんにもれてしまう、あるいはトイレに間に合わずにもれてしまう過活動膀胱には、抗コリン薬や漢方薬など処方の薬があります。内服薬については、内科、泌尿器科などでご相談されるのが良いでしょう。皮膚のトラブルは、皮膚科で治療できます。一人で悩んで状態が悪くなってしまう前に、皮膚科を受診してください。
尿漏れによる皮膚トラブル
尿漏れを発端とした皮膚トラブルには、いくつかの状態があります。
多いのは、尿漏れパッドあるいは生理用ナプキンなどを常時使用していて、むれたり、こすれたりして皮膚炎を起こすことです。 むれたり、こすれたりするだけで、皮膚の炎症は起こります。
また、尿には体内の老廃物などが多く含まれています。これらは肌にとっての刺激となり、肌にダメージを与えます。また、細菌の餌となり、細菌が増えやすくなります。オムツや尿漏れパッド、ナプキンは、漏れを防ぐ構造になっているため、オムツなどの中は汗や尿の水分により、高温多湿な環境となります。これは肌をふやけさせ、ふやけた肌は傷つきやすくなるのです。高温多湿な環境は、細菌・真菌にとっても住みやすく、細菌・真菌が増殖しやすいのです。
さらに、汚れをきれいに落とそうとゴシゴシとこすってしまうことで、肌を傷つけてしまいます。傷ついた肌は、排泄物の刺激や菌、ムレの影響をより受けやすくなり悪循環が起ってしまうのです。
むれることによって「皮膚カンジダ症」や「白癬菌感染症」の発生リスクも上がります。また、毛穴に汚れなどがたまって、痛い「毛嚢炎」を起こすこともあります。
尿漏れによる陰部のかゆみへの対策
陰部のかゆみやトラブルは、人には言いづらく、つい自分で何とかしようと思いがちです。しかし、市販の外用薬や通販のサプリメントなどで解決しようとするうちに、こじれて治療に時間がかかることが少なくありません。
原因は何であれ、陰部に発疹が出たり、かゆみ、痛み、不快感が生じることは 誰にでもあることで、けっして恥ずかしく思う必要はありません。早めに皮膚科を受診しましょう。
とはいえ、尿漏れしてしまったらどうするべきなのか?
その時の対応にも、症状を悪化させない大切なポイントがあります。尿漏れパッドやナプキンを使用する場合は、こまめに交換し、汚れのついていない状態を維持することが大切です。また、下着を替えられる自宅にいる時などは、パッドを使用せず、肌に直接当たるのはやわらかい下着の布、という状態が望ましいのです。下着がぬれたら、清潔なものに交換すれば良いのです。
なにかの拍子におなかに力が入ると、ちょっともれてしまうのは、加齢や出産などによる骨盤底筋のゆるみが原因です。骨盤底筋のトレーニングの方法もありますので、医師に相談してみましょう。
入浴時には、ごしごしこすらず、石けんを使って、やさしく洗う事が大切です。おしりふき用のウェットティッシュなどで拭き取る場合は、あくまでもやさしく、こすらないように、が基本です。
清潔になったら、皮膚科で処方された薬を正しい用法でお使いください。ネットの情報だけを頼りに自分だけで判断するのは危険です。当院では 必ず女性医師が診察を致します。女性の方で不安に思っている方も、皮膚のトラブルがあれば早めの受診をお勧めします。