Q:現在妊娠中なのですが、陰部に炎症ができており、大変不安に思っています。ネットで調べると「カンジダ症」というもののようです。産婦人科にいくべきか皮膚科にいくべきか迷っています。
A:ネットの情報だけで「カンジダ症」と決めつけるのは危険です。現在通院している産婦人科の医師に是非相談してください。当皮膚科では、妊娠中であるかどうかにかかわらず、陰部を含めた皮膚の診察・治療を行っています。
カンジダ症とは?
カンジタ症は、カンジダ属の真菌による感染症です。赤ちゃんのおしり、大人の膣や口内、女性の乳房の下、手の指の間などの湿潤部位で発生しやすく、湿った赤みの上に白い苔のようなものが付着する場合が多くあります。
手足の爪にカンジダ菌が感染すると、爪がもろく白くなり、爪の根元の皮膚も炎症を起こします。
カンジダ症の種類
カンジダ症は次のようなものがあります。
皮膚カンジダ症
口腔粘膜カンジダ症
舌カンジダ症
カンジダ性膣炎
口角炎(口角に唾液中のカンジダ菌が繁殖して口角炎を起こすことがあります)
カンジダ症の原因
カンジダ属の真菌は、口の中や膣、消化管にも常在菌として存在し、普段は人体に害を及ぼしません。
しかし、疲れて体力が落ちている場合や、別の感染症治療の目的で抗生剤を投与されている場合などは、常在菌のバランスが崩れて、口腔粘膜や肛囲、膣などに炎症を起こすことがあります。
皮膚の場合においては、高温多湿な6月~8月に真菌によるトラブルが多くなります。
妊娠中はホルモンの状態や体調が普段とは異なるため、カンジダ性膣炎にかかる事があります。
また喘息患者の吸引薬などに含まれるコルチコステロイドが原因でカンジダ症が発生することも報告されています。
カンジダ症の事前対策
体力が整っている場合には、皮膚カンジダ症やカンジダ性膣炎、カンジダ性の口角炎にはなりにくいものです。睡眠不足・疲れすぎ・過度のストレスには気をつけましょう。
カンジダ菌は湿気を好みます。通気性のよい下着を着用し、湿った衣類はすぐに取り換えることが大切です。
入浴後なども濡れたまま衣類を着るのでなく、よく拭いてから着用してください。
カンジダ症の治療
ほとんどの場合は、外用薬(塗り薬や膣錠)による治療が可能です。体調を整えながら治療してゆく事が大切です。
最後に
皮膚科を受診される方のなかで、皮膚カンジダ症と診断される方には、自己判断で間違った対処をして悪化したあとの場合も多くあります。
湿疹などと間違われやすい状態としては、
①赤ちゃんのおむつかぶれ(肛門周囲の炎症)
②手の指の間の肌荒れ、かゆみ
③女性の乳房の下の炎症
④わきの下やそけい部のかゆみ
等は、カンジダに限らず、皮膚真菌症の場合がありますので、ネットの情報や自己判断に頼らず、皮膚科を受診するようにしてください。