Q:手のひらや 爪の横に、数ミリ~1cmの硬いできものがあります。インターネットで調べると、イボではないかと思います。特に痛みなどはないのですが、気になっています。ネットでは、茄子のヘタをくっつける、イボコロリをつけるなど、 自分で摘除する方法が紹介されているのですが、大丈夫でしょうか?
A:ネットなどの情報で、自分で摘除するのは、二次感染などで症状を悪化させる危険があります。自己判断で処置をせず、皮膚科を受診してください。当院では、イボの状態や症状にあわせて、液体窒素療法、内服療法など、適切な治療を行っています。
イボとは?
イボは定義するのが難しいのですが、一般的には「全身の皮膚にできる突起物のうち、比較的固いもの」を指します。ウィルス性のイボ、皮膚の老化によっておこる脂漏性角化症(老人性疣贅)などがあります。
イボの原因
イボの原因は、ウイルス性のものと老化を原因とするもがあると考えられています。
ウイルス性のイボは、ヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウィルス)により発症します。ヒトパピローマウィルスの遺伝子ゲノムは100種類以上あるといわれています。どのように感染するのかは最新医療でもまだ完全には明らかになっていませんが、傷口から侵入したり、免疫力が低下しているときに感染リスクがあがると考えられています。
老化を原因としたイボもその原因や仕組みはまだ完全には明らかになっていません。老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)とも呼ばれるこの種のイボは、色や形が様々です。
イボの種類
ここでは代表的なイボの種類をご紹介します。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
もっとも一般的なイボがこの尋常性疣贅です。多くは円形で固いこの種のイボは、はじめは半透明で小さな盛り上がりがある状態ですが、徐々に大きくなり、表面もざらざらしてくることが特徴です。手足をはじめ、全身にできるイボですが、特に痛みはありません。すれて気になる、見た目がよくないという相談が多く、当院では基本的には液体窒素療法で治療しています。
青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)
顔(特におでこ)や、手背(手の甲)にできた細かい多数のイボは このような呼び方をする事があります。このタイプのイボもヒト乳頭種ウィルスの感染によるものですが、ウィルスのタイプによって、出来るいぼの形状が違うといわれています。
尖圭コンジローム(せんけいこんじろーむ)
外陰部、肛囲にできるイボで、にわとりのとさかやカリフラワーに似たイボ状の形が特徴です。性行為で感染することが多いため、性行為感染症と位置付けられています。液体窒素療法の他、外用薬の保険適応もありますので、早めに医療機関を受診するようにしてください。
脂漏性角化症(老人性疣贅)
皮膚の年齢的変化によっておこるイボです。ウィルス性ではないので、伝染することはありません。一つ一つが時間とともに大きくなることがあります。
稀に、基底細胞がんや扁平上皮癌、悪性黒色腫などと見分けがつきにくいことがあります。一度皮膚科を受診することをお勧めします。
イボの治療法
液体窒素療法
-196度の液体窒素を綿棒に含ませて患部に押し当てます。それによって水疱や痂皮が生じ、皮膚が入れ替わって新しい表皮ができて治癒します。治療には痛みを伴います。1~2週間に一度治療する必要があります。治療に対する反応(治療効果や痛みの感じ方など)には個人差があり、数回の治療で治癒する場合もあれば、1年以上かかる場合もあります。
頸部や 顔など、皮膚がうすく、日光に当たる部位では、 治療後に色素沈着が残ることがあります。
足の裏の場合は、治療後数日間痛みを伴う事がありますので、スポーツの試合の前などは治療をお休みする場合もあります。
漢方薬(ヨクイニン)内服
皮膚の代謝を良くすることと、免疫力をアップする目的で使います。いぼの数が多い場合には、液体窒素療法と内服を併用すると良いでしょう。液体窒素療法の痛みにどうしても耐えられない場合は内服だけで様子を見ることもありますが、内服だけでは 治療の効果は限られています。
外用薬(尖圭コンジロームのみ保険適応)
隔日に外用するクリームです。尖圭コンジロームは多発することが多く、液体窒素では治療が困難な事がありますので、外用薬を使います。
症状やイボのタイプによって、治療法の組み合わせを選びます。
最後に
以上のようにイボは種類や症状も様々です。
除去が必要とされる悪性腫瘍(いわゆる「皮膚がん」)である確率は基本的には低いですが、その判断は難しいため、気になる突起物やほくろがある場合は、早めにご相談いただくことをお勧めします。当院では症状に応じて最適な治療を行っております。