Q:85歳になる母の足の爪についての相談です。複数の爪が厚くなり、白~灰色っぽく濁っています。爪の縁が皮膚にくいこんで、出血することもあります。爪を切ろうにも厚くて切りにくいし、皮膚を傷つけてしまいそうで怖いです。どうしたらよいでしょうか?
A:足の爪のトラブルには様々な原因があります。
(1) 爪の水虫(爪白癬):爪がぶ厚くなったり、白や灰色に変色します。爪白癬の治療には、内服治療、外用治療の両方があります。皮膚科で爪の一部分をとって顕微鏡検査をし、きちんと確定診断をしてから治療しなければなりません。爪に白癬菌がある場合は、皮膚の水虫(足白癬)も同時に治療します。
(2) 陥入爪と化膿性爪囲炎:爪が丸くなって皮膚にくい込み、その部分からばい菌が入って足のゆびが化膿し、腫れて痛くなる場合があります。化膿がひどい場合は抗生物質の内服や外用で治療します。この場合、体重が重すぎると足と爪にかかる負荷が大きくなり、症状が悪化しやすくなります。適正体重を心がけましょう。
(3) 機械的刺激による爪の変形・変色:長年硬い靴を履いて立ち仕事をしていたり、踏み込むスポーツをするなどで圧迫が続くと、爪を作る部分の血流が悪くなり、爪の変形や変色を起こすことがあります。また、ゴルフシューズなどで長い時間プレーすることにより、知らないうちに爪の下に出血を起こすことがあります。
(4) 悪性黒色腫:頻度は高くありませんが、爪の下や爪の周りに黒っぽい色がつき、徐々に増大することがあります。皮膚科での専門的な診察と治療が必要です。
(5) 爪色素線条:悪性では無く、単に爪に縦の茶色~黒の線が見えることがあります。特に治療は必要ありません。
(6) 内科・皮膚科疾患の一症状としての爪の異常:尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、貧血などにより爪が変形することもあります。
爪の切り方
皮膚科保険診療では、爪白癬や陥入爪の治療に必要な場合は、該当する足趾の爪を切ったり、抜爪したり、その周りの皮膚の手当をすることがあります。爪のまわりに炎症がある場合(化膿性爪囲炎など)、爪を切るのは炎症が治まってからにするのが良いでしょう。日常的に爪が伸びてきたから、伸びた爪を切るということは当院の保険診療時間には行っておりません。
ご自身で爪を切ることが難しい場合、ご家族や介護を担当する方が爪を切ることが必要です。そのためのこつをお伝えします。
☆丁寧に少しずつやる。
☆足の爪は、なるべく四角く、角を落としすぎない。
これだけです。爪切りは通常の安全爪切り(大きめのもの)あるいは ニッパー型爪切り、どちらでも構いません。とにかく怖がらずに時間をかけてやってみてください。丁寧に少しずつやれば、意外と出来ます。どうしてもこの爪だけがうまく切れない、という場合、医師に相談してください。
巻き爪、陥入爪の治療
治療には、ワイヤー式、プレート式、手術療法などがあります。当院では外科的な治療は行っておりませんので、ご希望に応じて整形外科・形成外科など各医療機関に紹介します。